忍者ブログ

blog

忍べない忍び

拍手ぽちぽちありがとうございます!
なんかこう、個人サイトって、山奥の崖の上で一人で変な踊りを踊ってる…みたいな気持ちなので、ぽちっとしてもらうと、おぬし何故ここに…?!!って新鮮に驚きます。

10/20 23時の方、メッセージまでありがとうございます〜うれしい〜
お礼文、本当に本当に馬鹿みたいのしか置いてなくてすいません笑
がんばって更新したいです。またどうぞ〜


そして恋術3開催記念に、小話書きました。
忍べなくなってしまう術をかけられたkksくんの話。





 任務後、イルカ先生のおうちに直行し、ドアを開けてもらった瞬間、
「カカシさん、なんか出てます」
 と、言われた。
 えっ、なにが? と思いながら、さり気なく視線を下にやって確認した。ちゃんと履いている。開いてもいない。よかった、シモの話じゃなかった。
「いやいやいや、気付かない内にナニが出てる訳ないでしょうが」
「ですよねぇ。でも、ま、忍者は裏の裏を読まないと」
 テキトーに誤魔化してから、あれ? と思った。俺、今ナニが出てないかと思ったの、口に出してたっけ? あと先生は結局何が出てるって言ってたんだろ?
 頭の中がハテナマークでいっぱいだが、とりあえず靴を脱ごうと片手を足へ伸ばす。すると、何か柔らかいものが指に触れた。
 驚いて下を見ると、白くて丸っこい〝何か〟が数個、足元に転がっている。そしてそれには(えっ、なにが?)(まさかナニが?)(履いてた、よかった)などと書いてあった。
「なにこれ?」
 俺が思わず呟くと、(なにこれ?)と書いてあるものが、どこからともなく、ぽこんと飛び出た。
 いや、ほんとに何?
 
「何かの術ですか?」
「ああ、確かに。そうかも」
 イルカ先生に言われて、思い出した。
 今日の任務で対峙した相手が、死に際に何らかの印を結んだのだ。当然俺は身構えたが、何も起こらなかったので、印の途中で絶命したのだと思っていた。しかし、気付かなかっただけで、術はバッチリかかっていたのだろう。
「お前の忍び生命を断つ……とかなんとか言われたような」
「なるほど、こりゃ忍べませんね。こんなぽこぽこ出てたら」
 確かに、これじゃあ隠密もすぐバレるし、作戦や情報も漏らし放題だ。俺はもう忍びとしてはやっていけないかもしれない。
 だが如何せん、絵面が平和すぎて、どうにも深刻さに欠ける。まぁ解術できるでしょと言いたげに、俺達は微妙な笑みを浮かべ合い、とりあえず火影様に式を送った。
 
 イルカ先生に淹れてもらったお茶を飲みながら、返事を待つ。
 その間に色々試してみたところ、この術は俺が何かを考えると、その通りの言葉が書かれた丸いものが出てくるらしい。そして一定時間が経つと、跡形もなく消える。
 ということは、さっき帰還中にぽこぽこ落としてきただろうものは今頃消えている筈だ。
 よかった、と俺は考えた。同時に、(よかった)と書かれたものが飛び出る。
 あれが誰かに見られていたら、少しマズいことになるところだった。何故ならぽこぽこに書いてあるのは、イルカ先生のことばかりに違いないからだ。
 そう考えた途端に、ぽこんと出てきたものをさり気なく後ろに隠す。イルカ先生に見られないように。
 これは、イルカ先生には内緒だ。何を隠そう、俺は先生に絶賛片想い中だからである。
 
(以下同文)のぽこぽこを隠しながら、考えることには気をつけなければと身を引き締める。
 そう、例えば――って、危ない。早速あらぬことを考えてしまうところだった。頬の内側を噛んで耐える。ぽこぽこを隠すのにも慣れてきた。
 だがこの調子でぽこぽこぽこぽこ出していたら背中には隠しきれなくなるだろう。
 ではどうするか。簡単だ。考えたことが飛び出してきてしまうなら、何も考えなければ良い。
 俺は忍び。精神統一はお手の物だ。
 目を閉じ、呼吸だけに意識を集中する。このまま心を無に――。
 
 無に――なった、と思いきや、柔らかいものが足に触れる。
 おかしい。今は無になっていたのだから、何も出ない筈だ。俺は目を開けて、ぽこんを拾い上げる。
 それは一見、真っ白だった。無になると文字なしのが出るわけ? と考える。だがよくよく見ると、違った。白いばかりではなかった。
 そこには、うーっすらとした字で、(無)と書いてあったのである。
 ぶっ、とイルカ先生の吹き出し笑いが聞こえた。
 恥ずかしすぎる。何が忍びだ。全然忍べてない。
 
「す、すいません。俺もう見ないようにしますね!」
 笑ってしまったせいだろう、気まずそうな顔でイルカ先生が言った。そしてぎゅっと強く瞼を閉じる。
 それを見た途端、溢れるが如く次々にぽこぽこが出てしまう。
(えっ、かわい)(これ…キス待ち顔…じゃない?!)(かわいい)(うわーかわいい)(ちゅーしたい)(いやだめでしょ)(はーかわいい)(今夜のオカズはこれで決まり)(あぶな、これ見られたらどうすんのよ)(それにしてもかわいい)(ちゅーしたい)(かわいい!!)
 あっという間に、辺りは白い丸でいっぱいになった。
 ちゃぶ台の向こうのイルカ先生も(かわいい)に埋もれつつある。
 
「カカシさんていつも無表情なのに、ほんとはこんなに沢山何か考えてるんですねえ」
 こう埋もれては、見えていなくても感触で分かるに違いない。イルカ先生が目を瞑ったまま微笑み、横のぽこぽこを小動物相手みたいに撫でた。
 その閉じた瞼を開ける気配は全くない。ちょっと薄目で見てみよう…なんて小狡いことはこれっぽっちも考えていないようだ。
 先生のそういう誠実なところが、好きだ。だけど、今は少し悲しい。
 俺だったら、イルカ先生の考えていることを知るチャンスは逃せないと思う。興味がありまくるからだ。先生もその何億分の一くらいは俺に興味を持ってくれてたら良かったのに。
「イルカ先生はさ、知りたくないの、俺が何考えてるか」
 子どもみたいに拗ねた声が出てしまった。(『いや、あんまり…』とか言われるだろうねえ)のぽこんを指で弾く。返事は分かっていた。せめて、『いや、全然』までは言わないでほしい。
 
 しかし、イルカ先生の答えはそのどちらでもなかった。
 先生は、「知りたいですよ、そりゃ」と、小さく呟いた。目を瞑ったまま俯いた顔が、僅かに赤くなっていた。
「どうして……いつも俺に会いにきてくれるのか、とか」
 
「えっ」と、俺の驚きが、ぽこんではなく実際の声に出た。
 だがそれ以上の言葉は出ない。ただ大量のぽこぽこだけが溢れ出してくる。イルカ先生が知りたいと思ってくれた、その答えは、瞼を開けてくれれば正に一目瞭然だ。
 俺は覚悟を決め、ぽこぽこを掻き分けた。(うそ、脈あり…?)(赤いほっぺ舐めたい)は蹴飛ばし、一番きれいなものを探す。それはすぐに見つかった。
 そのぽこんは、心なしか他のものより淡く色づいているように見えた。そして手に取ると、ほんのりと温かい。
 俺は先生の手にそれを乗せた。
「イルカ先生……これ、見て」
 先生がゆっくりと目を開ける。
 その手の中のぽこんには、こう書いてあった――(あなたが好きです)。
 イルカ先生は、はっと顔を上げて俺を見ると、ますます頬を赤らめ、
「……俺も」と言ってくれた。
 かくして、俺達はめでたく両想いと相成ったのである。
 
 そして当然、この後はめくるめくイチャイチャタイムへ――と思いきや、ならなかった。
 直後、巨大な(大好き!!)が、ぽこん…というよりボッコーン! という感じで飛び出して、イルカ先生の部屋を大破したからである。
 
 
 幸い、この最悪の状況にも、よいことは三つあった。
 まず、怪我人がいなかった。大家さんと隣人たちにめちゃくちゃ怒られたけど。
 第二に、その巨大なそれを最後に、俺のぽこんは出なくなった。術が解けたのだ。どうやら想いが大きすぎて、術の許容量を越えたらしい。
 そして三つ目は、そのおかげでイルカ先生とお付き合いを始められたということだ。
 もし、おうちを破壊され呆然とするイルカ先生を前に、(ラッキー)(俺の家に誘おうっと)(なし崩しに同棲しよ)の最低なぽこんが出てしまっていたら、そうはいかなかっただろう。危ないところだった……。
 
 
 あれから、イルカ先生はあの柔くて温かい『好き』のぽこんが忘れられないと言って、時折俺の頭をナデナデする。ちょっと感触が似てるらしい。
 そんなことをされるたび、俺は我慢できず、先生にむしゃぶりついてしまう。
 
 忍者とは耐え忍ぶ者の筈だ。だが、イルカ先生を前にすると、俺はまた忍べない忍びになってしまう。
 あの妙な術はもう解けたが、今は別の術にかかっているからだ。
 そしてこれは解ける気配はちっともなくて、医療忍でも火の国の秘湯でも治せないのである。
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

プロフィール

HN:
安倍川
性別:
非公開

最新記事

(03/23)
(01/14)
(12/31)
(11/26)
(11/10)

P R