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間に合わなかった!!!

ウオオ〜〜〜カカシくんお誕生日おめでとうだよ〜〜〜〜
2024年にカカシくんのお誕生日を祝えて驚きと喜びでいっぱいです。まさかこんなことになるとは…
再燃して、カカシくんが生きててくれたことがしみじみと、かつ叫びだしたくなるほど嬉しくて、今にして思えば、以前の私はカカシくんが死んじゃうことをすごく怖れていたんだなぁと分かりました。物語の美しさから言えば生き残るだろうと、頭では分かってたけども、心がそれに従える訳じゃないんでさ…
ほんと生きててくれてありがとうね…

というかんじで、カカ誕のお話、というか、生きててくれてありがとうな話を書いてたんですけど……間に合わなかった……
9/15になにかしたと思いたいので、濡れ場直前までを以下に置いておきます。
タイムスリップde暗校です。kkir必修科目だぜ〜!フ〜!






その男が初めて現れたのは、父の葬儀の夜だった。
ふと蝋燭が揺れて、気がつくと祭壇の前に立っていた。
黒い髪と、青鈍色の長いジャケットが、薄明に溶けるように馴染んでいる。カカシが気付かなかっただけで、彼はもう長い間そこにいたのかも知れなかった。
「あんただれ?」
問うと、男は振り向いて、カカシを見た。
男の目には、いっぱいに涙が湛えられていた。それはカカシがその日会った大人たちの誰とも違う目だった。隠し立てされることも、奇妙な複雑さもない、混じり気のない悲哀で満ち満ちていたのである。
「カカシさん…?」
男は呟いて、より一層哀しげに顔を歪ませた。今にも泣き出すと思われたが、ぐっと唇を噛み締めて耐えたらしい。笑い皺だろう目尻の深い溝に、涙が円く留まっていた。
何故か、彼が何者であるかより、その透明な雫の方が気にかかった。カカシがじっとそれを眺めている内、男はこちらに近づいてきた。
カカシの前で跪き、両腕を広げる。その左手に巻物が見えた。
忍びとして恥ずべきことに、カカシはその時ようやく危機を察し、腰のクナイに手をやろうとした。
が、遅かった。男の腕がもう、カカシに触れていた。
死ぬのなら、死ぬのだろう。そう考え、緊張した肩から力を抜いた。カカシは疲れ切っていた。本当は指一本動かしたくもなかったのだ。
しかし、予想した痛みは、やってこなかった。
男はカカシに刃を突き立てることも、術をかけることもしなかった。
ただ――カカシを抱き締めていた。
ぼんやりと、こんなに誰かと身体が触れるのは、いつ振りだろうと考える。多分、父が元気だった頃だろうが、思い出せなかった。
つかれた、とカカシは呟いた。
男の手が、ゆっくりとカカシの背を撫でる。大きな、温かい手だった。
カカシはほとんど気絶するように、その場で眠りに落ちた。
翌朝目覚めると、男はいなくなっていた。

次に現れたのは、オビトの眼を貰って数日後だったと思う。
カカシは高熱で朦朧としていたので、それが本当に彼だったかは分からない。
ふと浅い眠りから覚めると、あの夜と同じ目が、カカシを見ていた。
誰だ、どうして、どうやって、と当然思うべき疑問は幾つもあったが、やはりカカシは疲れ切っていて、何も考えられなかった。
ただただ、額の辺りに触れている男の手が冷たくて心地よかった。それに集中していると、痛みが和らぐ。カカシは目を閉じて、もう一度眠った。

その次は、リンを殺した日の夢を見た夜だ。
手が濡れている、と思って起きた。一瞬、血だろうと考えた。だが粘ついて嫌な臭いのするそれとは全く違って、さらりとした清らかな感触だ。
何だろうと目を開けて、手の方を見る。透き通った温かい水が、はたはたと落ちてきていた。
あの男だった。祈るように、カカシの手を捧げ持ち、頭を垂れている。
彼は、カカシの眠りを妨げないようにか、声を殺して、静かに泣いていた。澄んだ黒い瞳から、滾々と湧き出る泉のように、涙が後から後から溢れ続け、カカシの手に零れ落ちた。
まるでそこに染み付いた血を、洗い流そうとでもしているのかのようだった。
無理だよ、とカカシは思った。それは落ちない、どんなに洗っても。
だからもういい、あんたが泣くことはないよ。カカシはそう言ってやりたかったが、声には出来なかった。もう少しだけでもいいから、その手と涙の、温かく清潔な感触を、感じていたかった。

九尾の事件の後は、男はいつもと少し様子が違った。
悲哀は一層深いのに、涙の気配がない。いつも潤っていた目は乾き、深く澄み切って、どこか遠くを見ていた。
目が合うと、男は微笑みを浮かべた。無理に作られた、弱々しいものだ。
それからカカシの頭を撫で、そっと抱き締めた。その腕も、包むようではなく、どこか縋るような頼りなさがあった。
カカシは彼と、何かを共有している気がした。それは、大切な誰かを失った、悲しみか。もう二度と会えない、寂しさか。ただ守られた、無力感か。
初めて、カカシの方からも男を抱きしめ返してやった。
幼い頃よりカカシの背は伸びている。近くなった男の喉から、隠しきれない、嗚咽を耐える音が聞こえた。
しばらくそうした後、男はふっと、煙のようにかき消えた。

***

つまり男は、暗い夜に現れ、欲しいものを与えてくれる、都合の良い幻だったのだ。
長じるにつれ、カカシはそう考えるようになった。
どこからともなく現れては消える男。これが現実と思う方がイカれている。もちろんそんなものが見える自分は正気ではないということだが、どうせイカれているのなら、自覚があった方がいい。
幼く、弱い心が見せた幻だ――自嘲を込めて、そう結論付けられるようになったカカシは、十代を終えていた。

久しぶりに男が現れたのは、ちょうどその頃だ。
任務を終え、纏わりつく全身の返り血をどうにか洗い流し終えたら、寝室に、彼は立っていた。
カカシは驚きと共に己への嫌悪を感じた。まだこんなものに縋ろうというのか。
数年経ったというのに、男の様子は変わっていない。姿形も、気遣わしげな瞳も。そしてカカシを慰めんと伸ばされる優しい手も。
だが、カカシの方は違った。もう、抱き締められるだけで満足する小さな子どもではない。

「ねぇ今夜はすぐに消えないで。一晩くらい付き合ってよ」
カカシの頭に寄せられた手に、指を絡めて言った。
男は何も分からない様子で、無邪気に、僅か首を傾げる。だがその指に口付けながら、もう片手で腰を引き寄せてやると、ようやく意味が分かったらしい。目を見開いて、カカシから身体を離した。
カカシは眉を顰めた。
何故、拒否するんだろう。この男は欲しいものを与えてくれる筈だったのに。そう考えてから、激しい苛立ちを感じた。期待外れの男にも、幻に縋ろうとする弱い自分にも。
長く獣の面を着けてきて、己を押し殺すことに慣れきった筈だった。欲しいものなど何も無かった。それなのに、今カカシは男が欲しいという気持ちを抑えきれない。
この男はいつも、カカシが闇の中に隠したものを照らし出して、暴き立てるのだ。

男はこちらを見つめ、本気か探っているようだ。
カカシが一歩近づくと、左手に持った巻物を握りしめるのが見えた。
「また消える気?」
反射的に男の手を掴んで捻る。巻物が床に転がった。
まだ分からないが、男がどこにでも現れるのには、その巻物が鍵なのではないかと考える。幻とばかり思っていたが、時空間忍術だったのだろうか。
まぁ、どちらでもいい。
カカシは男を抱き寄せ、きつく拘束しながら、長いジャケットに隠された尻を乱暴に揉んでやる。年嵩の男の尻などどうとも思っていなかったが、彼のそこは意外と肉厚で柔らかく、官能的だった。これが欲しいと、カカシの股間が素直に反応する。
「やめ、っ、だめだ、こんなこと…!」
男はカカシを押しのけようと藻掻いた。悪くない忍びのようだ。拘束を外そうとする動きは的確だった。
カカシは、殺さずに拘束するのはそう得意な方ではない。だが戦意を失わせる術は良く知っている。力の差さえ見せてやればいいのだ。そしてカカシは容赦なくそうした。逃げられないと分かるまでそう時間はかからない筈だった。
しかし男はいつまでも諦めない。必死に巻物に手を伸ばそうとするのを止めなかった。

そんなに拒絶するのか。そんなに離れたいのか。そんなに、消えたいのか。
そして自分はそれを止められないのだ――
不意に空しくなって、腕から力が抜ける。
男がカカシから逃れて、巻物を拾い上げた。
「そう……俺の前からいなくなるんだ、あんたも」
カカシは知らぬ間に、そう呟いていた。それは自分でも驚くほど頼りなげな、寄る辺ない幼子の声だった。
男ははっとした様子で振り返り、カカシを見た。途端くしゃりと顔が歪み、瞳が哀しげに揺れる。
「違う、いなくならない……俺は、いなくなったりしない…!」
痛切な声で男が叫ぶ。だがそれは、あからさまな嘘だ。男はいつも消えてしまうくせに。誰も彼も皆、いなくなるくせに。
嘘を吐くなら、もっと良い嘘が欲しかった。温かい肌で包み、一夜だけの愛を囁き、愛撫に大げさに啼いて、たわいない睦言で楽しませてほしかった。今のカカシには、それが必要だったのに。
それを与えてくれないのなら、どこへなりと行ってしまえばいい。
カカシはベッドへ座り込み、男の姿を見ないように頭を垂れた。

しかし一向に気配は消えない。しばらくすると、むしろ近づいてきた。
ベッドが揺れる。男が隣に座ったのだ。
そしてカカシの肩を抱き、引き寄せてきた。鼻先が男の鎖骨の辺りに押し付けられる。彼からは、どこかで嗅いだことのある匂いがした。よく知っているのに、それが何だか思い出せない、不思議と懐かしい匂いだった。
深く息を吸いながら、伸び上がって、男の首筋に顔を埋める。素肌からはもっと良い匂いがして、カカシは溜め息を吐く。
男はそれにふるりと身体を震わせた。
堪らなくなって、そこに口付けた。ゆっくりと上へ移動していきながら、男の目を覗き込む。澄んだ瞳が真っ直ぐにカカシを見ていた。
吸い込まれるように、唇を合わせる。
彼はもう、逃げなかった。

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